2003年11月21日金曜日

ヤミ金“繁栄”の法則

出資法・貸金業法が改正されて(いわゆる、「ヤミ金規制法」)、最近ヤミ金業者の摘発の報道が増えている。
特に、暴力団絡みの大規模なヤミ金組織が捜索を受け、トップも指名手配された件は、連日テレビのニュースでも大きく扱われているので、知っている人も多いだろう。
私は、ヤミ金は、ずっと昔からいる「高利貸し」のような物なので、こうした大規模な組織ではなく、いわば「個人事業」で、狭いエリアで活動している人もたくさんいると思っている。だから、大規模な組織を摘発することは、「見せしめ」にはなっても、ヤミ金をなくすことにはならないと思うし、逆に大きな組織を崩壊させることで、個人レベルで活動しているヤミ金が動きやすくなってしまうことを危惧してしまう。

この暴力団のヤミ金組織は、儲けをスイスの銀行に送ったり、割引債に換えたりなどのいわゆる「資金洗浄」を行って、「足がつかない」お金にしていたそうだ。ということは、こういう方法を指導している人が当然いるわけだ。
かなり以前、「極妻」だったか別のヤクザ映画だったかは忘れたが、とにかく東大を出た「エリートヤクザ」が出てきて、率先してマネーロンダリングや脱税の指揮を取っていた。こういうことが、現実の世界でもあるのかなぁ、と思う。

法律の網の目をかいくぐるためには、法律の知識が必須だ。違法な金融業者も、それなりに法律を知っていないと、すぐに捕まってしまうだろう。テレビでヤミ金摘発のニュースを見ていると、20代前半の若い「経営者」が逮捕されていることが結構多い。裏で操っている大人がいるのかもしれないが、まだ若くて、法律を何も勉強しないで、気軽にヤミ金をはじめてしまったのかな、と思う。債務者の子供が通う学校に督促電話をしてみたりと、言い訳の余地がまったくない違法行為で逮捕されている。

無知なヤミ金業者の繁栄はないのだ。

バッチリ理論武装をして、繁栄しているヤミ金業者と言えば、「ミナミの帝王」の萬田銀次郎さんだろう。「ミナミの帝王」は、もう10年も連載が続いているコミックだ。
私はコミックは読んだことはないのだが、ドラマ(OVA)化されていていて、こちらも40作を超える人気シリーズとなっている。このシリーズが時々CATVで放送されているので、結構良く見ている。
大阪のミナミで「鬼」と言われている、ヤミ金(街金かもしれない。貸金業登録をしているのかどうかはよくわからない)業者が萬田銀次郎さんだ。取立てはかなり厳しいのだが、貸した金を回収するためには命を賭けて大悪人とも渡り合う。
法律の落とし穴を利用して、大悪人から大金をせしめ、それが結果的に自分の債務者を救う結果になる、というようなストーリーが多い。
このため、萬田さんは怖い金貸しには違いないのだが、結果として「弱きを助け、強きを挫く」人物になっている。
萬田さんはトイチ(利息が10日で1割)の貸金業者なので、それだけでも十分捕まる可能性があるのだが、なぜか捕まらない。保証人になっていない債務者の家族のところにも、容赦なく取り立てに行くのだが、それでも捕まらない。
よく見てみると、萬田さんはお金を貸す時に「うちの利息はトイチで、よそよりちぃーっときつうおまっせ」と必ず告知し、「わかってます」「トイチでいいので、貸してください」などと債務者に言わせてから、借用書にサインをさせている。集金の時も、直接本人に会って現金で受け取り、その場で領収書を切っている。
つまり、「みなし弁済」を主張できるような貸し方をしているということなのだろう。
家族に取り立てに行った時も、「あんたに代わりに払ってもらうことになりまっせ」とか、「あんたになんとかしてもらわんと」など、かなり脅迫的なことは言うのだが、「払え!」とは言わない。自ら「払います」と言うように仕向けるだけなので、これもギリギリ法には触れない範囲なのかなぁ、と思う。
金を返さない債務者には、カードで買い物をさせて転売行為をさせたり、保険証を偽造させて他から金を借りさせたりしてでも回収するのだが、自分自身は手を汚さない。
そんな萬田銀次郎さんが教えてくれる、法律の知識が、こちら。
ちょっと古いページらしく、今の法律とは違う部分もあるのだが、最低でもこの程度の知識がなければ、ヤミ金業者として生きていけないということだ。
資金だけ準備して、何の勉強もしないでヤミ金を開業するような人は、簡単に捕まってしまうのだと思う。
本当に長年繁栄している「老舗」のヤミ金業者は、ちゃんと法律を知っていて、抜け道を持っているのかもしれない。

一方、お金を借りる方も、本当はこの程度の知識は身につけておくべきなのだと思う。
マンガやテレビドラマだけでもこれだけのことがわかるのだから、ちょっと気をつけていれば、ヤミ金からお金を借りることが、どんなに怖いことなのかは理解できるはずだし、ヤミ金に手を出してしまうぐらいなら、債務整理した方が良い、ということもわかるはずだ。

法律の改正も、警察による大規模な摘発も、もちろんヤミ金撲滅に貢献していると思うが、ヤミ金から借りようとする人がいるからこそ、ヤミ金業者がなくならないのだ。
どんな商売でも需要のないところに供給は成り立たない。
ヤミ金から借りないことが、ヤミ金撲滅への最も効果的な方策だと思う。