2007年1月23日火曜日

サラ金のリストラがはじまる?

先週末にアイフルが大規模なリストラを発表したのを受けて、"ざまぁみろ"的なコメントをしている債務者や元債務者が運営するブログをいくつか見かけました。
アイフルが潰れたり、ほかのサラ金に吸収合併されるのでは、という心配をしている人もいました。
でも、私はアイフルは実にしたたかに生き残りを図っているように感じます。

アイフルが大リストラ…有人店舗4分の3・人員2千人
1月20日20時49分配信 読売新聞
消費者金融大手のアイフル(本社・京都市)は20日、グループ全体で2713ある店舗を半分以下の1193店に削減し、このうち有人店舗は現在の約4分の1の213店にすると発表した。
これに伴う人員削減が、契約社員などを含め最大で2000人規模になる可能性があるとしている。
昨春の全店業務停止処分で顧客離れが進んでいたほか、貸金業規制法の改正による規制強化で収益減が避けられないと判断した。他の大手も業容の縮小に着手する公算が大きい。
アイフル本体では、9月末をめどに有人店舗を463から100に、無人店舗を1440から900に減らし、計1000店体制とする。
上記の記事が出たのは先週末ですが、週明けの株式市場ではこのリストラ策が好感され、アイフルの株価は上昇しました。

アイフル株が堅調、踏み込んだリストラで環境変化に対応
1月22日10時47分配信 ロイター
午前の株式市場でアイフル<8515.T>が堅調。20日にグループ全体で正社員400人の希望退職者を募ることや有人店舗の約8割を削減し213店舗にすることなど踏み込んだリストラ策を発表したことで買いが入っている。
グレーゾーン金利の廃止を盛り込んだ改正貸金業法の成立を受けて、経営環境の悪化に先手を打った対応が株式市場で評価されているという。
上の読売の記事では、あたかも社員数や店舗数の削減が業務縮小につながるような書き方がされていますが、決してそんなことはありません。
これから、サラ金がもっとも力を入れていくであろう融資窓口はインターネットだからです。

窓口に足を運ぶ必要もないし、従業員と顔を合わせる必要も会話する必要もない「ネット融資」という形態は、消費者側のニーズにマッチしているはずです。
そういう意味で、サラ金は「ネット通販」にはもっとも親和性の高い業態のひとつではないでしょうか。

サラ金のテレビCMは一時よりはかなり減少していますが、PCでもケータイでも、ネットサーフィンをしていてサラ金のバナーや広告を見ない日は恐らくないと思います。
Yahooをはじめとする大手ポータルサイトから、個人サイトのアフィリエイトバナーまで、サラ金広告はネット上のあらゆる場所で幅を利かせています。

サラ金の広告にはさまざまな規制が課せられていますが、ネットのバナー広告はスペースに制約があるからなのか、法整備が追いついていないのか、今のところ「野放し」状態です。

特にひどいのがアフィリエイトです。

サラ金の広告バナーだけをズラッと並べたようなブログやサイトを見たことがあると思います。
多くは個人がアフィリエイトバナーを並べて作ったサイトのようですが、このようなサイトには平気で

「審査が甘い」「借りやすい」「ブラックでも借りられる」

などとうたってあります。
サラ金自身がこんなキャッチコピーの広告を出したら、明らかな貸金業法違反になります。
貸金業法
(誇大広告等の禁止)
第十六条  貸金業者は、その業務に関して広告又は勧誘をするときは、貸付けの利率その他の貸付けの条件について、著しく事実に相違する表示若しくは説明をし、又は実際のものよりも著しく有利であると人を誤認させるような表示若しくは説明をしてはならない。
2  前項に定めるもののほか、貸金業者は、その業務に関して広告又は勧誘をするときは、次の各号に掲げる表示又は説明をしてはならない。
一  顧客を誘引することを目的とした特定の商品を当該貸金業者の中心的な商品であると誤解させるような表示又は説明
二  他の貸金業者の利用者又は返済能力がない者を対象として勧誘する旨の表示又は説明
三  借入れが容易であることを過度に強調することにより、資金需要者の借入意欲をそそるような表示又は説明
四  公的な年金、手当等の受給者の借入意欲をそそるような表示又は説明
五  貸付けの利率以外の利率を貸付けの利率と誤解させるような表示又は説明
3  貸金業者は、その業務に関して広告又は勧誘をするときは、資金需要者等の返済能力を超える貸付けの防止に配慮するとともに、その広告又は勧誘が過度にわたることがないように努めなければならない。
でも、個人サイトだから何の規制も罰則もなく、やりたい放題できるのです。
恐らく、サラ金もこんなキャッチコピーの下に自社のバナーが掲載されていることはわかっているはずです。
法律で規制されて自分で言うことができない「魅力的な」キャッチコピーを、個人アフィリエイターがどんどん言って勧誘してくれるのですから、笑いが止まらないでしょう。

サラ金のアフィリエイト報酬は、他の業種の報酬に比べるとゼロが2つ3つ余計につくほど高額です。
だからこそ、みんな必死になってバナーをベタベタ貼ったサイトを作り、そのサイトに誘導するために、お金を払って自らアフィリエイト広告の広告主になる人さえもいます。

でも、サラ金にとっては、高いテレビCMを打つことに比べればずっと負担が軽いと思います。
リンク元も把握できますから、効果測定も簡単で、より効率的な広告出稿ができます。

街頭でティッシュを配らなくても、駅前のビルに高い家賃を出して事務所を構えなくても、カネに目がくらんだ個人アフィリエイターが、貸金業法違反になるような"魅力的な"宣伝文句を使って、どんどん顧客を集めてくれるのですから、従業員や店舗を減らしたところで、収益も減るような心配はまったくしていないと思います。

昨年の一件で高額な団信保険料の負担もなくなりましたし、過払い金返還用の引当金を積んで大赤字決算をしたことにより、税金負担もかなり軽くなりました。
さらに人員と店舗を削減することで、経費は大幅に減少し、その分を既存メディアに比べれば割安なネット広告へシフトすることで、収益性は大幅にアップする可能性があります。

普通の人にとって"サラ金でお金を借りる"という行為には、多少なりとも気後れやためらいがあるはずです。
サラ金業界は、その気後れを払拭するために「無人契約機」を登場させたり、明るいイメージの広告を打ち続けてきました。
それでも、「サラ金に入るところを人に見られたくない」というような思いが、何人かにひとりの足は確実に止めてきたはずです。
ネットで「誰にも見られず」「簡単に」サラ金からお金を借りられるようになったことで、その"最後の枷"とでも言うべき、ためらいや気後れがほぼ完全に払拭されてしまうことになります。

インターネットは最強の「無人契約機」なのです。

それは、サラ金にとっては新たな顧客獲得のチャンスとなり、私のような者にとっては、新たな多重債務問題に発展する懸念材料なのです。