2007年3月7日水曜日

PASMO特需?カード会社の顧客争奪戦

今月18日から首都圏私鉄各線がICカード型乗車券PASMOを導入します。
首都圏の私鉄・地下鉄は、今は「パスネット」という使い捨ての磁気カード型乗車券を発行しているのですが、JR東日本ですでに導入されている「Suica」同様に1枚のカードにお金をチャージして繰り返し使うタイプに切り替えるということです。
「PASMO」導入と同時に「Suica」との相互利用が可能になるので、首都圏で私鉄もJRも利用する人にとっては、わざわざ2種類の乗車券を持つ必要がなくなって便利になります。

私は私鉄沿線の住民で、時々JRも利用します。
新しいモノが好きなので、去年から、JRを利用する時は「モバイルSuica」を使っています。私鉄に乗るときは磁気のパスネットを使ってきましたが、「モバイルSuica」だけにまとめられるようになるので、便利だしお財布からカードが1枚減るので喜んでいます。
カード型の「PASMO」や「Suica」にお金をチャージするには、駅の券売機にカードと現金を入れる方法と、クレジットカードでチャージする方法があります。
あらかじめクレジットカードを登録しておくと、チャージ残高が指定額を下回ると、自動的にクレジットカードから一定額をチャージしてくれる「オートチャージ」という方法もあります。

この「オートチャージ」は確かに便利なシステムです。
でも、私も多重債務経験者ですし、このサイトの読者の多くも多重債務経験者だと思います。
そういう者にとっては、無自覚なまま自動的にクレカ決済が行われてしまうシステムにはちょっと怖さを感じます。

「PASMO」のオートチャージ用に指定できるクレジットカードは、私鉄系のクレジットカードなどに限られています。
去年の暮れあたりから、私鉄系クレジットカード会社各社が、この「オートチャージ」を売り物にして、連日新規会員獲得キャンペーンを大々的に行っています。
私の家の最寄り駅は、私鉄2線が乗り入れている駅なので、両方のカード会社が改札前に特設申し込みカウンターを設置して毎日勧誘をしています。
駅前にある私鉄系のスーパーでは、清算を終えてレジ袋に商品を詰めている最中に勧誘のおねえさんがやってきて、逃げられないのを良いことに執拗に勧誘してきます。

昨年秋頃から、私鉄各駅には「PASMO」導入を告知するポスターやチラシなどをみかけるようになりましたが、「現金で券売機からお金をチャージできる」ということがほとんど書かれていなくて、「クレカでオートチャージができて便利」ということばかりが強調されています。
その上、駅の改札口付近ではクレカ会社が「PASMOにオートチャージできます」と、大きなのぼりを掲げた特設申し込みカウンターを連日設置して、通る人に声をかけて勧誘しているので、まるでクレカがないと電車に乗れなくなってしまうのではないか、と錯覚しそうになります。

おかげで私の母は、すっかり「私鉄系のクレカがないと電車に乗れなくなる」と思い込んでしまい、あわてて私鉄系のカードを申し込んでしまいました。
その上、親切のつもりだったのでしょうが、なんと私の分までも申し込んでしまいました。

その私鉄系クレカ自体は持ったことがありませんでしたが、発行会社は私が多重債務時代に長期延滞をして、訴状まで送ってきた信販会社だったので、「いくら何でも審査には通らないだろう」と思っていたら、普通に発行されてしまいました。
利用枠はかなり低いですが「PASMO」のオートチャージ用に使うだけなら、十分過ぎるほどです。
こんな私にまでカードを発行してしまうなんて、どこかの掲示板風に言うなら"必死だな"という感じです。

確かに「PASMO」とのヒモ付けは長期安定需要が見込めます。単価が低い(オートチャージ1回当り3,000円)のでリスクも低く、カード会社にとっては絶好の顧客数拡大のチャンスかもしれません。
私鉄系各カード会社がしのぎを削って顧客争奪戦を繰り広げているのもわかります。
発行会社にとっては不良顧客のはずの私を取り込んでまでも、この戦いに勝とうとしているのでしょうか。

私にまでカードを発行したということは、相当与信の低い人にもこの私鉄系クレジットカードは発行されるということではないかと思います。
クレジットカードである以上は、「PASMO」のオートチャージ以外のお買い物もできるわけで、多重債務気味の人がカードを利用枠いっぱいまで使ってしまい、肝心の「PASMO」のチャージが止められて、家に帰れなくなってしまう、なんて冗談みたいな話が現実になってしまう可能性もないとは言えません。
「たかが電車賃」ですが、「されど電車賃」です。
私も本当に借金を抱えて困っていた時は100円200円の電車賃も勿体なくて、2~3駅なら迷わず歩いていました。

「PASMO」のオートチャージサービスは、クレカ会社にとっては安定した顧客獲得のメリットがあり、鉄道会社側にとっても信販会社に電車賃の収納業務を委託するようなもので、駅ごとの出納業務も大幅に簡略化でき、メリットは十分です。
このため、鉄道会社側も現金チャージよりもクレカによるオートチャージの利便性ばかりを大々的にアピールした「PASMO」導入告知を行っているのだと思います。

しかし、鉄道という公共サービスの利用代金までもが「ツケ払い」になることで、これまでには考えられなかったような新たな問題も出てくると思います。
日本もどんどん「キャッシュレス化」が進んできていますが、鉄道のような古くからあるサービスや、ずっと現金主義だった日本人の多くが「このキャッシュレス化」のスピードに形だけではなく本質的な部分で追い付いて行けるのかどうか、見守って行く必要があるかもしれません。

私にも鉄道系カードがせっかく発行されましたが、私は上記のように「モバイルSuica」を現金チャージで使うので、このカードにヒモ付けした「PASMO」は作りません。
系列のスーパーや駅ビルで現金で買い物をしてもポイントが付くそうなので、専らポイントカードとして利用することになりそうです。
"現金主義"で行くと決めた元多重債務者にとって、電車代まで「クレカ払い」というのは、どうも馴染めません。