2007年12月24日月曜日

改正貸金業法が本格施行

今月19日から、去年国会で大モメした末に成立した改正貸金業法が本格施行されました。

主に罰則強化の部分がすでに先行して施行されていた改正貸金業法ですが、19日からの本格施行によって、日中でもしつこい取立てを禁止する、違反業者に対して金融庁が出す処分の幅が大きく広がる、など、いっそう貸金業者への規制が厳しくなりました。
さらに2010年半ばまでには、貸付金額の総量規制や、出資法の上限金利を20%に引き下げることも決まっています。(詳細は金融庁のサイトで見られます)

また、この法改正では、貸金業界が自主規制やカウンセリングなどを行う業界団体を設置するように定められており、新たな業界団体「日本貸金業協会」が発足し、いくつかの自主規制を設けました。

例えば、以下のような総量規制に関するルールがあります。
●毎月の返済額を借り手の月収の3分の1(または年収の36分の1)に抑える総量規制
●50万円以上のリボ払い契約の際には、借り手に源泉票等収入を証明する書類の提出を求める
●リボ払いの返済期間を30万円までの場合は3年以内、30万円以上の場合は5年以内とする

クレジットカードを持っている人やサラ金からの借入がある人は、ここ半年ぐらいの間に「利用規約の改定」の通知を受けた人が少なくないと思いますが、これはこのような自主規制ルールにあわせた動きです。

その他にも、
●午前7時~9時と午後5時~10時の時間帯でのTVCM放映禁止
●屋外看板の午前0時以降の点灯禁止

など、広告に関する自主規制も設けられていますが、ネット上の広告に関しては、各社のホームページに掲載すべき内容は規制されているものの、そのホームページに誘導するためのバナー広告等への規制は一切ありませんので、大手ポータルサイト等に頻繁に表示される下品なサラ金のバナー広告は今後も無くならないかもしれません。

上限金利の引下げも、すでに大手サラ金などは法律の施行に先行して進めているようですが、これにあわせて融資の審査が厳格化されているようです。
新規融資申込者の成約率(申し込んだ人のうち実際に融資を受けられたひとの割合)は最近では4割程度だという話もあり、出資法の上限金利が変わる2010年までには3割にまで落ち込むだろう、と予測している人もいます。

「日本貸金業協会」のサイトも、金融庁のサイトも、やたらと「多重債務者対策」「多重債務者問題」という言葉が目立ちますが、金利を下げ、総量規制を行い、新規融資者の数を減らすことが「多重債務者対策」になると思っているのではないかと心配になります。
実際、成約率を下げれば、借りる人数は減りますし、総量規制をすれば借入額は減りますから、今後、数字の上では「多重債務者」は減少して行くかもしれません。
しかし、借りたくても借りられず、「多重債務者」にすらなれない人が増えてしまうことが考えられます。

金融庁は各自治体の窓口にこんな対応マニュアルを配布して、「親切に対応しましょう」などと指導しているようですが、役所がするべきなのは、多重債務者になってしまった人の相談に乗ることよりも、多重債務者になる前に何らかの救済を行うことではないかと思います。
(この「対応マニュアル」の構成や言い回しの中に私のサイトにとても似ている部分がいくつかあって、ちょっと気持ちが悪いです。このようなマニュアルですから、どれも似たり寄ったりになるのだとは思いますが・・・)
「相談窓口の充実」に加えて、金融庁は「融資制度」「学校教育」「ヤミ金取締強化」も「多重債務問題改善」のためのプログラムとして挙げています。
いずれも他の省庁の参加なしには実現しないことですから、金融庁がどれだけ本気になって他省庁がその気になるように働きかけて行くのかを見守っていく必要がありそうです。

「日本貸金業協会」の方も、別に貸金業者が自主的に作ったわけではなく、法律で定められたからできたものです。自主規制も法律で定めるように言われたから定めただけで、この団体が前向きに多重債務問題に取り組む団体になるとは思いにくいです。
上記に挙げた、ネットのバナー広告は一例ですが、一見前向きに見える「自主規制」にも、似たような「抜け穴」はたくさんあると思います。
「自主規制団体」なんて、下手をすればただの天下り先になってしまう恐れもありますから、この団体の"本気度"も現段階ではよくわかりません。

改正貸金業法の施行とそれを取り巻く一連の動きが、本当に「多重債務問題解決」につながるのかどうか、少し長い目で見極めて行かなくてはならないと思います。