2008年10月26日日曜日

「日本版」サブプライムローン問題

世界的な金融混乱のニュースが毎日のように流れていますが、その中で「日本版サブプライムローン問題」という言葉を耳にするようになってきました。
その中身は、アメリカ発の「元祖」サブプライムローン問題とは異なりますが、同じ住宅ローンに関する問題なので、報道する側が最近流行語のようになっている「サブプライムローン」という言葉を使っているようです。

「日本版サブプライムローン」と最近マスコミが呼ぶのは、バブル期の頃からあった、「ゆとりローン」と名付けられた住宅ローンのことです。
私は5年前(2003年)の日記の中で、バブル期の「ゆとりローン」について紹介しています。
バブルで不動産価格が高騰してしまい、普通ではマイホームが買えないような人を対象に、借入当初は金利を低く設定し、頭金も低く抑え、その後段階的に金利が上がって行く(つまり段階的に返済額が増える)仕組みのローン商品が作られました。
不動産の価格もサラリーマンの給料もずっと右肩上がりで増えて行くことを前提にして作られたローン商品です。
5年前の日記の中で私は、バブル崩壊のような事態は予測できなかったのだから、バブル期にこのようなローン商品を作った人も、このローンで家を買った人も責めることはできない、というスタンスで記事を書いています。
バブル崩壊によって、日本人は不動産価格も下がることを知り、給料も毎年上がり続けるわけではないことを知ったので、もはやこんなギャンブルみたいなローンを組む人はもういないだろう、と思っていました。

しかし、実態はそうではありませんでした。

バブル崩壊後、冷え切った景気対策の一貫として、バブルの時以上にこの「ゆとりローン」を利用した住宅購入が国の政策として推奨されました。
頭金がゼロでも借りられるようになったり、借りられる上限額を増やしたり、住宅ローンがある人の所得税を大幅に引き下げたり、と、所得が低い人も簡単に家が持てるような錯覚に陥らせたのです。
これにともなって、ものすごい勢いでマンションがあちこちに建設されていました。
バブル崩壊時に資産を整理した大企業の元所有地などを利用し、かつては憧れでしかなかった都心の一等地に、バブル期と比べれば信じられないほどの低価格の物件が次々建てられたのです。

あたかも「お買い得」な新築マンションと、「低金利」の住宅ローン、そして「減税」。

後々のリスクも考えずに、目先のぶらさがっているおいしそうなエサに食いついてしまった人は結構多かったようです。
「ゆとりローン」の契約件数はバブル期よりも伸び、1998年が一番多くなりました。
まんまと国の政策は当たったわけです。

そして今年、1998年に「当初10年低金利」のゆとりローンを組んだ人たちの住宅ローン返済額が一気に跳ね上がります。
景気が一気に冷え込み、給料も10年前と変わらないか、むしろ下がっているような人たちが返済に窮して破綻してしまうだろう、というのが「日本版」サブプライムローン問題です。

5年前の日記にも書いたように、バブル期に「ゆとりローン」を組んだ人が、バブル崩壊後のリストラや資産価値の下落によって破綻したことには同情の余地があります。
しかし、バブル崩壊を経験し、10年後の自分の所得なんて予測できないことを学習したのになお、目先のエサに飛びついて2000年前後の時期に「ゆとりローン」を組んだ人にはあまり同情する気になれません。
学習能力やリスク管理能力が足りなかったのではないかと思います。

もちろん、それを煽った国や住宅公庫、類似商品を作って大プロモーションをしていた銀行にも多少の責任はあると思いますが、国や金融会社に責任を押し付けても、結局は借りた自分が返済をしなければならないのです。