2004年07月27日

プチ・映画レビュー(2)涼を求めて「潜水艦モノ」2本(旧blogより転載)

今年は、去年の夏とは打って変わってたいへんな猛暑ですね。
こんなに暑いと、本当に何もする気になれず、サイトの更新も思いっきりサボっています。
暑いので、少しでも涼しくなることを、とあれこれ考えていたら、2本の「潜水艦モノ」の映画を思い出しました。

私は、かなり「閉所恐怖症」です。年齢とともにその傾向は強くなってきて、去年「東京ディズニーシー」で、「海底2万マイル」という潜水艦型のアトラクションに乗った時は、自分でも驚くほど恐怖感を感じ、心臓はドキドキ、サーっと血の気も引いてきて、楽しむどころではありませんでした。
潜水艦を舞台にした映画は、海の中だから涼しいというだけでなく、私にとってはそういう意味でも涼しさを通り越して、寒気を感じるほどに「涼しい」映画なのです。

私が恐怖を感じる「密室」という舞台は、映画やドラマにとっては、最も緊張感を作りやすい設定のひとつです。閉じられた空間と、限られた登場人物で物語が進む、という設定はミステリー小説などでも良く使われています。
映画でも、「十二人の怒れる男」は、裁判の陪審員たちの駆け引きと心の動きがていねいに描かれた「密室モノ」の秀作です。

海底深く潜行した潜水艦の中は、まさに「密室」の中の「密室」とも言える空間で、その息苦しいほど緊迫した空気が、時に人をパニック状態に追い込み、人の脆さや、逆に意外なほどの強さをも露呈させるのです。


「クリムゾン・タイド」は、デンゼル・ワシントンとジーン・ハックマンというふたりの名優が、潜水艦の中の緊迫感を、極限まで高めてくれています。
強い信念と信念が狭い潜水艦の中で、激しくぶつかり合い、爆発してしまいそうなほどの迫力を感じます。ストーリーのスピード感や、映像のキレ味もとても気持ちが良くて、決して「感動の名作」という類の映画ではありませんが、何度も見直したくなる魅力を持った映画です。「核爆弾」という、とても重いテーマを持ちながら、それをスリリングなエンターテイメントに仕上げているところに、制作者や出演者の力量を感じます。政治や外交の問題として語られがちな核兵器問題ですが、実際に核兵器を持って行動をしている、軍隊という「現場レベル」での核問題を感じることができます。



「Uポート」は、第二次世界大戦中、連合軍を震撼させたドイツの潜水艦、通称「Uボート」の中で繰り広げられる物語です。現在DVDになっている「ディレクターズカット版」は3時間半近い大作ですが、その長さをまったく感じさせないというか、むしろ長さをリアル感に変えている映画です。20年以上前の映画ですが、監督は今公開されている「トロイ」のペーターゼン監督です。
リアルさを感じることができるのは、フィクションであることはわかっていても、ドキュメンタリー映画を見ているように思わせる手法にあるような気がします。
古い潜水艦なので、急潜航や急浮上をする時などは、乗組員全員を一斉に船首や船尾に走らせて艦のバランスを取ったりするわけですが、乗組員たちと一緒に、手持ちカメラも全速力で走って撮ったブレブレの画像をわざと使うことで、見ている側も乗組員になって、一緒に猛ダッシュしているような気分になれるのです。
(ちなみに、手持ちカメラのブレブレ画像が、リアル感と迫力を高めてくれている秀作映画は、何と言っても「仁義なき戦い」です。)
3時間半、ずっとそんな感じですから、見終わった後の疲労感は結構なものです。でもそれは「長い映画を見たから疲れた」という疲労感ではなく、Uボートに乗って、一緒に出撃してきたような疲労感です。物語は、Uボートの活躍を取材しようと特別に乗り込んだ、軍の報道官の視点で描かれて行きます。
軍人とは言っても、部外者である彼の視点が、そのまま見る人の視点となって、よりリアル感を高めます。
この映画の醍醐味は、上述の「クリムゾン・タイド」のスピーディーでスリリングな展開とは逆に、「動かない」ことにあります。もう目の前に迫ってきている「死」をひしひしと感じながら、動かずに待つことしかできない、という究極の「静」が、ある時は瞬間的に、ある時はもうずっとこのままじゃないかと思うほど延々と、この映画を支配します。
「不条理」と言うしかないラストシーンに向かって、映画の中の時は、リアルに緊張感を持って流れます。

熱帯夜は、こんな潜水艦モノ映画で、寝苦しさを紛らわせてみてください。
ニックネーム 借金女王 at 00:00 | TrackBack(0) | 映画&テレビ
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