このブログに時々コメントやトラックバックをしてくださるStrikes Back!!さんが書いている「Fastest Lap」というブログは、専門的な視点からさまざまなモータースポーツについて言及しています。
私のようなミーハーなレースファンのブログとは違って、とても勉強になるブログなので、モータースポーツファンの方はぜひ読んでみてください。
先日、その「Fastest Lap」の記事からトラックバックをいただきました。
こちらの記事にコメントを書こうと思ったのですが、楽天広場の会員でないとコメントできないそうなので、この記事を読んだり、他の方の記事を読んだりして日ごろ思っていることを自分のブログに書いてみることにしました。
「最近のF1はつまらない」という声は、何年も前からあります。
その理由はStrikes Back!!さんも記事で書いてるように「バトルがない」「予定調和的」「車がカッコ悪い」というようなものや、「フジテレビの中継が下手くそ」とか「セナがいないから」なんていうものなど様々です。
「セナがいなくなってF1がつまらなくなった」という人は、もともとF1ファンではなく、セナのファンだったのでしょう。
「マイケル・ジョーダンがいなくなってNBAがつまらなくなった」と言っている人と同じで、どんなに素晴らしい選手が出てきたとしても、「セナが一番」「MJが一番」でなくては気が済まないだけのことなんだろうと思います。
「バトルがない」というのも、F1批判の王道的なコメントです。
確かにその通りです。
厳密に計算して究極の速さを目指して作られているF1の車だからこそ、簡単にラインも外せないし、決定的な速さの違いがない分、ズバッと抜くことがなかなかできません。
その点、Strikes Back!!さんが記事の中でF1と比較しているGP2はエキサイティングなレースです。F1と一緒にヨーロッパを回って、F1の前座レースのような形で行われているのですが、F1と同じコースを走っているのに、激しいバトルもオーバーテイクもあって、私も中継は夢中になって見ています。
2ヒート制で、2レース目は1レース目の1位から8位が逆順でグリッドにつく(1レース目の8位が2レース目のポールポジション)というシステムもエキサイティングでおもしろいです。
「レースの面白さはオーバーテイクだ」と思う人は、アメリカのNASCARやインディがおすすめです。オーバルコースを見渡せば、あっちもこっちもオーバーテイクシーンだらけです。前の車のスリップストリームを使って、まるで引き寄せられるかのように一気に近付いてズバッとオーバーテイクするシーンは、何度見てもワクワクします。
でも、オーバルのレースを「あんな競輪コースみたいな所をぐるぐる回るレースの何が面白いの?」と言う人もいます。
「オフロードや公道を走るラリーこそ、真の車の性能がわかるレースだよ」という人もいます。
で、私はどう思っているのかというと、F1もGP2もNASCARもWRCもGT選手権もそれぞれに面白くて好きです。それぞれに「楽しむポイント」が違うのです。
確かに同じ「モータースポーツ」ではありますが、「レースはこうあるべきだ」などと定義する必要はないと思いますし、比較する必要もないと思っています。
専門知識があればあるほど、自分なりの理想の車や理想のレースの形がより頭の中で具現化して、一応「モータースポーツの最高峰」と言われているF1がその理想と乖離することが嘆かわしくなるのかもしれません。
でもF1はF1だし、GP2はGP2です。どちらも面白いと思えば両方見れば良いし、F1がつまらないと思うならF1は見なければ良いと思います。
私も「F1はオーバーテイクやバトルが少ない」と思っています。
でも、だから「F1はつまらん」とは思っていません。F1の楽しみはそんな所にあるとは思っていないからです。
F1は単にドライバーやメカニックの腕を競うものではなく、長いスパンでの開発力・技術力、それを支える資金力や営業力、政治力までも含めた広い意味での「総合力」を競うレースだと思っています。
だから、F1に限っては、TCSでもマスダンパーでも可変ウイングでも、つけられる技術力と資金力があるならどんどんつければ良いと思っています。つけた結果、クルマがカッコ悪くなったとしても、それは主観の問題ですし、作る方も「見た目」を完全に無視するほどマーケティングを軽視はできないはずです。
ワンメイクのレースと違って、F1は最低限の決まりさえ守れば「カネにモノを言わせて」自由にクルマを作って良いレースです。コースに完成したクルマを持ち込む前から、レースは始まっているとも言えます。だから、何でもどんどん付ければ良いと思います。
時に実力よりもスポンサー力重視でドライバーが選ばれるのも、F1に限っては反対しません。ドライバーも「総合力」の中では1パーツに過ぎないのがF1です。
勝つと、表面上はドライバー個人が称えられ、祝福を一身に浴びているように見えますが、特にヨーロッパでは、F1の勝敗によってメーカーの売り上げは相当左右されると聞きます。
湯水のようにお金を使ってF1に参戦するのは、やはりそれなりの「見返り」があるからです。「大きな見返り」のために「大きな投資」をしているのです。
そういう意味で、F1は大げさに言えば「世界経済の縮図」です。
さわやかなスポーツマンシップとは程遠い「生臭さ」が漂っているのです。
確かにコース上でのバトルはありませんが、クルマをコースに並べるまでに様々な「バトル」があります。
私はそこが他のカテゴリにはない「F1のおもしろさ」だと思って見ているので、インディでオーバーテイクがないと腹が立ちますが、F1でオーバーテイクがなくてもあまりがっかりしないのです。
この所、F1からはプライベートチームがどんどん撤退し、メーカー系チームばかりになりつつあります。
これは、単に資金面でプライベートチームがメーカー系にかなわいということだけではなく、様々な思惑がうごめくF1の世界は「純粋にレースだけを仕事にしたい」という人たちにとっては決して居心地の良い場所ではないからなのかもしれません。
エディ・ジョーダンがチームを売ってF1から去った後、どこかのゴルフトーナメントでキャディをやっているのを見ましたが、彼はF1の中継では見たことがないような穏やかな笑顔を終始見せていました。
純粋な「レース屋さん」にとって居心地が悪い世界だということは、純粋な「レースファン」にとって魅力的でない世界だということなのでしょう。
だから、「純粋にレースを、コース上のバトルを楽しみたい」という人にとって、F1は物足りないのかもしれません。
でも、私はこうした生臭い部分も含めてF1を楽しんでいます。
紛争の火種があちこちにあるF1が、これからどこに進んでいくのかわかりませんが、私はF1が楽しめるうちは楽しんで見ようと思っていますし、楽しめなくなれば見なくなるだけだと思っています。
★8月21日追記
Strikes Back!!さんがこの記事に対するお返事記事をアップされました。
以下、その記事を読んでの所感です。
私が何を見るかの基準は、自分にとって面白いかどうかに尽きるので、「世界のモータースポーツの最高峰であるF1はどうあるべきか?」なんてことは考えていません。
Strikes Back!!さんは、モータースポーツそのものをとても愛していて、その頂点にあるF1の今の姿に憂慮されているのだと思います。
私の中には、そこまでの視点はなくて、F1がモータースポーツの頂点かどうかは関係なく、単に「おもしろいから」見ているだけです。
で、私にとってF1の「おもしろさ」はオーバーテイクではなく、政治力や資金力までも含めた「総合力」の争いにあるのです。
そのような争い方がモータースポーツ界やレースドライバーを目指す子供たちにとって「良いこと」かどうかは、私がF1を見るか見ないかという選択基準には関係ありません。
F1の現状を「おもしろいか、つまらないか」ではなく、「良いか悪いか」で評価しろと言われれば、「良い」とは言い難いのかもしれません。でも、仮に「良い」状態になったとしても、それが私にとっての「おもしろい」に繋がるかどうかは別の話です。
F1の中はいつもモメていて、分裂・崩壊の危機に瀕しています。でも、私は無責任な観客に過ぎないので、そういうデカダンスも含めて楽しんでいるわけです。
Strikes Back!!さんは、こんなF1を見て育つ子供たちを心配しているのですが、残念ながら今のF1は子供なんか相手にしていない、というのがホンネだろうと思います。
やっぱり、車を買ってくれるヨーロッパのお金持ちが対象であり、ヨーロッパは景気が悪いので、アジアや中東のお金持ちもターゲットにすべく、バーレン、トルコ、中国でもGPが開催されるようになりました。
モータースポーツができる子どもは、基本的には「お金持ちの子」だけです。
特にF1を目指そうかという子は、小さい頃からレーシングカートに乗っていることが必須のようになっています。経済的に恵まれた子でないと、なかなかレーシングドライバーへの道は開けません。
貧乏で靴も買えず、路上で裸足でボールを蹴っていたブラジル人少年がサッカーのスーパースターになったとか、スラム街で育ち、父親の顔は知らず、母親は麻薬の密売で逮捕されてしまったので、幼い弟や妹たちを食べさせるためにNBAプレイヤーになった黒人少年、というようなストーリーはF1にはありません。
サッカーやバスケットはボールひとつあればできるスポーツですが、モータースポーツはそうは行きません。
子どもが「やりたい」と思うかよりも、親が「やらせたい」と思うかどうかで、実際にレーシングドライバーに成れるかどうかが決まってしまう、という側面があります。
そういう意味でも、あくまでF1のターゲットは「お金持ちの大人」なんだろうと思います。
中継を見ていても、スタンドの観客を映す時、F1ではきれいなお姉さんやラブラブなカップルが映ることが圧倒的に多いのですが、NBAやNFLでは、口の周りにホットドックのケチャップをベタベタにつけた小さな女の子とか、ビールを片手に髪を振り乱して応援しているおばあちゃんが映ります。
そういう所からも、F1は庶民のためのスポーツではなく「セレブ」のためのイベントなんだなぁ、と感じます。
だから、残念ですが、Strikes Back!!さんのような憂慮は、なかなかF1の中の人たちには届かないのではないかと思います。
Strikes Back!!さんが標榜するような、モータースポーツの頂点にふさわしい理想的なレースを今のF1に望むのは、F1が崩壊や分裂をしない限りは難しいように感じます。
2006年08月20日
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http://blog.netlaputa.ne.jp/tb/428538
〜GP2からFormula1が学ぶべきもの〜Part2
Excerpt: 「借金女王」さん、「StrikesBack!!」です。お久しぶりでございます。わざわざお越しいただきましてありがとうございます。トラックバックまでしていただいたのでコメントではなく記事の中で「借金女王
Weblog: FastestLap
Tracked: 2006.08.21 03:22
マス・ダンパーが拓く新しい可能性
Excerpt: まず最初に予め申し上げますが、僕はマス・ダンパーが禁止されたことを肯定しています。これからこのブログを読まれたらとても反対派の意見とは思えないかも知れませんので、予め申し添えます。マス・ダンパー・・い
Weblog: FastestLap
Tracked: 2006.08.27 00:13
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コメントの文字数では足りませんし、せっかく頂いた「借金女王」さんの記事に敬意を表する意味でも記事として取り上げさせていただきました。あくまでも僕自身の私見が書き綴られています。苦痛でなければお立ち寄りいただけますようお願い申し上げます。
また、今後とも鋭いトラックバックお待ちしております。
Strikes Back!!さんが標榜するような、モータースポーツの頂点にふさわしい理想的なレースを今のF1に望むのは、F1が崩壊や分裂をしない限りは難しいように感じます」
崩壊や分裂はしなくても改革しようという意識があれば出来ますが、空回りしてるんだと思います。
6,7年前のF1は今よりはかなり良かったと思いますから、流れが悪いだけです。
ただし、現状のままではF1へのマネーの流れも悪くなる一方だと思います。
ヨーロッパのお金持ちがF1を広告塔としなくなった理由が「子供への影響度」なんですよ。
欧州が不景気だからという理由からだけではなくて、ヨーロッパのお金持ちはもうF1を少なくとも広告のための道具とは思って無いし、技術開発の側面からも現在は市販車の方が自由にやれますから、総合力ではなくネーム・ヴァリューのためだけになってます。
タバコ広告の禁止も重なって、結果としてヨーロッパ離れが進んでいます。
ただ、F1の現状を「おもしろいか、つまらないか」で評価するか「良いか悪いか」で評価するかで見方が変わるわけですから、今回の件も詰まるところは白黒ハッキリさせることが出来ない案件なのでしょう。
対極的な意見、見解を持つ二人が議論をしても結果は見えております。
「借金女王」さんがおっしゃるようにつまらなければ見なければ良いということも正論でしょう。
F1離れすべきなのは僕なのかも知れません。
F1への皮肉のつもりで書いた追記部分だったのですが、字面どおりに受け取られてしまったのかな?
純粋なレースファンにとって、いまのF1が物足りないのもわかりますし、Strikes Back!! さんのような苦言を表明している方も少なくないと思います。
それをF1がどう受け止め、どう進んでいくのかを、1ファンとして見守って生きたいと思います。
言うだけなら簡単なんですが実際の舵取りはかなり厳しいものだと思いますので・・・
今後も「借金女王」さんとは色々な部分で意見交換できると幸いです。
今後もよろしくお願いします。