とうとうシューマッハの最後のレースが終わってしまいました。
鈴鹿でのまさかのエンジンブロー、ブラジルでも予選では信じられないようなマシントラブルが起こり、レースではタイヤバーストと、引退を表明した途端、それまでは考えられなかったようなトラブルが立て続けに彼を襲いました。
でも、それは彼を襲った「非情のトラブル」というよりは、マシンもエンジンもタイヤも、まるで「引退なんかしないでよ〜」と、ダダをこねて彼を引き止めているように見えました。
タイヤのバーストで余儀なく最後尾に回されてからの彼の走りは、まさに「皇帝」らしいものでした。
次々と先行するマシンをパスし、最速ラップを更新し続けながら、ほぼ丸々一周分の遅れを見事に取り戻し、あと一歩で表彰台という位置にまでカムバックしました。
今週のフェラーリの仕上がりはとても良くて、フリー走行でも予選でも圧倒的な速さを見せていました。
最後にシューマッハは、フェラーリが圧倒的に強かった頃には定石だった、余力を残してポールポジョンを取り、レーススタートから十分にマージンを稼ぎ、ピットインをしても、一度もラップリーダーを他に渡すことなく優勝するようなレースをしてくれるのかな、と思っていました。
仮にノントラブルで、そういうレースをして優勝していても、きっと「さすがに皇帝らしい、強いレースをした」と、後々まで語り継がれることになったと思います。
しかし、レースの神様が彼に与えた「有終の美」は、最後まで一瞬とも手を抜くことが許されない、「攻め」に徹したドライビングでした。
こんなレース展開だったからこそ、「やはりシューマッハは最速・最強」だということをあらためて証明できたのかもしれません。
過去にもシューマッハは、トラブルなどで最後尾近くまで落ちたところから劇的なカムバックを果たし、表彰台に上ったレースを何回かしています。
フェラーリファンとしては、終始トップを走り続けるようなレースももちろん嬉しかったですが、やはり、前をどんどんパスしながら順位を上げてくるようなレース展開にはゾクゾクし、F1の「かっこよさ」を実感することができました。
最後のレースで、そんな「ゾクゾクする速さ」を見せてくれた彼に、今は心からの賛辞を送りたいと思います。
今思うと、唯一の心残りは、今年のレースカレンダーにスパがなかったことです。
ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットは、91年にシューマッハが鮮烈なデビューを飾ったコースです。
鈴鹿などと並び称されるドライバーズ・サーキットのひとつで、私もいつも、ここでのレースはちょっと特別なワクワク感をおぼえながら観戦していました。
欲を言えば、最後にシューマッハがオー・ルージュを駆け上がる姿を見ておきたかったなぁ・・・
私がF1を見るようになってから、ほぼずっと、彼は当然のようにトップドライバーとして君臨していました。
シューマッハのいないF1が私の目にどう映るのか、それは来年のGPが開幕してみないとわかりません。
来年も、こうして全戦の観戦記をブログに書くほど夢中になれるかどうかもわかりません。
とにかく、今シーズンのF1は終わりました。
来月からはNBAも開幕するし、NFLもいよいよプレイオフに向かって架橋に入っていきますので、ひとまずF1のことは来年3月の開幕までは忘れることにします。
来年の今頃、私がF1についてどんな記事を書いているのか、自分でも楽しみです。
2006年10月23日
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