2006年08月14日

椿 三十郎

椿三十郎椿三十郎
三船敏郎 仲代達矢 加山雄三

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私がクロサワ映画ファンだということは、サイトのプロフィールとか、このブログでも書いています。
甲乙つけがたいクロサワ作品の中でも、この「椿三十郎」は何も考えずに楽しめる、エンターテイメントに溢れた作品です。
私はテレビで放送しているのを見たり、DVDを借りてきたりして、学生時代から年に2〜3回見続けています。何度見ても飽きません。
「日本映画は難解・暗い・おもしろくない」と見もしないで最初から決め付けている人も少なくありませんが、わかりやすく軽快なテンポで進むストーリーと、お家騒動を扱いながら、どこか間抜けでお気楽なキャラクターたちが"映画のおもしろさ"を存分に味あわせてくれます。

多分、他の映画やテレビドラマなどで見たような設定やシーンが出てくるはずです。
この作品は、同じ"三十郎" が活躍する「用心棒」と並んで、内外を問わずさまざまな作品に「パクられて」います。それだけ誰が見てもおもしろい、ということです。
難しさも堅苦しさも皆無なので、クロサワ映画初心者にもおススメの作品です。

見所は色々ありますが、三船さん演じる三十郎にくっついて回る、気概はあるけど世間はまったく知らない青年侍グループの中には、加山雄三さんや田中邦衛さんがいます。40年以上前の作品ですから、ふたりとも若いです。でも、今の雰囲気が漂っていて、おもしろいです。

また、ラストの方の、仲代達也さんと三船さんのタイマン抜刀対決は圧巻です。
今のようなCG技術はもちろんありませんから、人の動きだけで「るろうに剣心」のような、ハイスピード抜刀術を披露しなくてはならなかったわけです。
そのために三船さんはスタッフと何度も打ち合わせをして、そのシーン専用の刀を、重さや形や長さに徹底的にこだわって作ったそうです。
また「刀を抜いて一番速く斬るにはどうすれば良いか」を考えて、刀の抜き方、振り方を徹底的に研究したそうです。
で、結局三船さんはどんな刀を使って、どんな抜き方、斬り方をするのか、ぜひ映画を見てください。普通に見ていると、余りにも速くて多分全然見えないと思いますので、スロー再生で見てください。
普通に刀を抜いてから普通に上や横から振り下ろすのでは間に合わないのです。

今回なぜこの作品を記事にしたのかというと、実は今度この作品がリメイクされるらしいのです。
監督の森田芳光さんは、私より少し年上で、自主映画出身の監督ですから、多分黒澤さんには多大な影響を受けていると思います。
森田監督はデビュー当初は「気鋭の新進監督」でした。ハードボイルト系のイメージが強かった松田優作さんを、ただの家庭教師役に迎えた「家族ゲーム」をはじめ、初期の森田作品は、自主映画色たっぷりのヘンな設定やヘンな映像が満載でした。
その後、大ヒットした「失楽園」など、普通の映画監督(良く言えばプロっぽくなった)になってしまったような気がしていました。

その森田監督が、織田裕二くんを擁して「椿三十郎」をリメイクする、というニュースを聞いて、私はちょっとびっくりしました。
黒澤監督と森田監督も結びつかなかったし、三船さんと織田くんも全然結びつきません。"三十郎"は、得体の知れない汚い浪人なんですが、織田くんがやると、ちょっとさわやかすぎて、怪しい感じが薄れてしまうような気がします。

「椿三十郎」の中では、"赤い椿"と"白い椿"がキーワードになっている部分があって、モノクロ映画では表現しにくい「色」を、カラー映画でどう表現してくれるのかは、唯一楽しみな点ですが、後はどうでしょうか。

昔のクロサワ作品がリメイクされるというのは、私にとっては、宝箱に入れて大事にしまってあった宝物を、いつの間にか他人に取られ、みんなに見せびらかされているような気分です。
正直なところ「黒澤さんの映画はそっとしておいてよ」と思います。
そう思っている人は少なくないと思いますし、森田監督よりも黒澤さんや三船さんの年代に近いような人たちは「森田?誰だ?クロサワをリメイクするなんておこがましい」と思っているかもしれません。

それでもあえて「世界のクロサワ」にチャレンジする森田監督にも敬意を表したいと思います。「奇才・森田」の切れ味は「世界のクロサワ」を脅かすことができるでしょうか。



ニックネーム 借金女王 at 16:03 | Comment(2) | TrackBack(4) | 映画&テレビ

2006年08月07日

パイレーツ・オブ・カリビアン

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最近F1のネタしか書いていないので、たまには映画ネタを・・・とはいっても、"スターウォーズEP3"以来、映画館には行っていません。
レンタルやCATVで週に1〜2本は見ているのですが、なかなか"これは!"と思う作品はありませんでした。
そんな中、まったく期待しないで見たのに、思いの他おもしろかったのが、パイレーツ・オブ・カリビアンでした。

ディズニーランドのアトラクション"カリブの海賊"を映画化した作品ですが、アトラクションの中のシーンが忠実に映像で再現されていて、久しく行っていないディズニーランドにもまた行きたくなりました。
お話としては単純だし、お気楽だし、どちらかと言えば子供向けの映画でしょうが、大人でもじゅうぶん楽しめます。
何も考えなくて良いので、暑い夏にアイスクリームでも食べながら見るには最適だと思います。
映像も細かいところまでしっかり作りこんであって、さすが「ディズニー映画」です。

それにしてもジョニー・デップは良いですね。
強いんだか弱いんだか、いいヤツだか悪いヤツだかわからないけれど、不思議な魅力で周囲を引きつけてしまうキャプテン・ジャックは、彼にしか演じられなかったと思います。
もともと好きな俳優さんですが、更にお気に入りになりました。

ところでこの映画、どうして"パイレーツ・オブ・カリビアン"という原題をそのまま邦題にしてしまったのかが不思議です。
ディズニーランドのアトラクションもオープン当初から"カリブの海賊"なのだから、映画の邦題も"カリブの海賊"にした方が、わかりやすかったと思います。
私もプレビュー記事を見るまでは"カリブの海賊"の映画化だとは気付きませんでした。

「海賊モノ」って、夢とロマンと冒険に満ちているものが多くて、映画でも本でもアニメでも、小さい頃からわくわく、ドキドキしながら見ていたような記憶があります。
私は映画の醍醐味は、あり得ないような冒険をしたり、行ったこともないような場所に行ったり、見たこともない生き物の姿が見られるところにもあると思っています。
だから、いかにもありそうな、フツーの恋愛映画とかホームドラマは私はあまり好きではありません。
そんなわけで、今でも"ワンピース"は毎週欠かさず喜んで見ています。



ニックネーム 借金女王 at 23:57 | Comment(3) | TrackBack(1) | 映画&テレビ

2006年06月22日

LOST


最近「LOST」がおもしろいです。
昨日からDVDのレンタルが始まったそうですが、私はAXNで連続放送しているのを見ています。
アメリカのエミー賞などのテレビドラマの賞を「24」より多くの部門で獲得したそうです。

文章にしてしまうと、「飛行機が無人島に墜落し、生き残った人々がその島でサバイバル生活をする」というだけのお話なのですが、島にはたくさんの謎があったり、登場人物たちの飛行機に乗る前のエピソードが盛り込まれていて、登場人物同士が過去に意外な接点を持っていることがわかったりします。
登場人物それぞれが、その飛行機に乗ったことや生き残ったこと、ジャングルで覆われた無人島で生かされていることに意味付けをしようとしています。
その中で、それぞれの過去が回想という形で明かされて行きます。

舞台は無人島ですから、「24」のような派手な銃撃シーンやカーチェイスはもちろんありませんし、コンピュータや衛星を駆使して国の中枢を揺るがす事件に立ち向かうわけでもありません。
登場人物が多く、それぞれの人物のエピソードが散発的に描かれていて、ストーリーの進行もゆっくりなので、おもしろくない、と感じる人もいるかもしれませんが、私はパズルのピースをバラバラに渡されて、それを頭の中で組んで行くような感じの面白さを感じています。

AXNでは来月から「シーズン2」の放送も始まるそうです。
「24」のような大ブームにはならないかもしれませんが、見はじめると結構ハマりますよ。



ニックネーム 借金女王 at 02:02 | Comment(0) | TrackBack(1) | 映画&テレビ

2006年05月02日

ダブルチューナー&HDDレコーダー付STB

ダブルチューナーNFLやNBA、F1の中継を見たいがために、CATV(ケーブルテレビ)に加入しています。
テレビをデジタル対応の物に買い換えなくても、地デジやBSデジタル、110°CSも見られます。
去年からはCATV会社が月1000円で外付けのHDDレコーダーのレンタルもしてくれるようになったので、深夜・早朝の中継が多いNFLやNBAをはじめ、色々な番組を取り溜めて好きな時間に見られるようになりました。
HDDレコーダーも、買うとなるとまだまだいいお値段ですが、レンタルならお手ごろなので、とても助かっていました。

そのCATV会社が、今度はHDDレコーダー内蔵のSTB(セット・トップ・ボックス)をリリースし、レンタル料も月800円だというので、早速そちらに乗り換えることにしました。
HDDの容量は250Gで、しかもかわいいダブルチューナーexclamation
ということで、写真のように画面を分割して2つのチャンネルを同時に見ることもできます。
もちろん、裏番組録画や2番組同時録画もできます。

これで、今まで放送時間がよく重なって困っていたGAORAG+のNFL中継も、何の心配もなく両方見られるようになります。

HDDレコーダーを使うようになる前は、せっかくCATVに加入しているのに、NFLやNBAの中継を見るくらいで、見たことのないチャンネルも多かったのです。
でも、デジタル放送になり、HDDレコーダーを付けてからは、画面のEPG(電子番組表)からリモコンのボタンひとつで録画予約もできるし、ビデオやDVDのように、メディアの残量を気にする必要もなくなったので、とりあえずEPGを眺めて面白そうな番組は片っ端から予約しておき、後で時間がある時にゆっくり見るようになりました。
結局見なかった番組や、1ヶ月してようやく見るような番組もありますが、余り期待していなかった番組が思いのほか面白かったりすることもあります。
ここ数年テレビを見る時間は極端に減って、ネット一辺倒な生活が続いていたのですが、それが少し変わりつつあります。

私は仕事柄、ゴールデンウィークも余り関係ありませんし、まとまったお休みを取ることもほとんどできないので、もう何年も旅行らしい旅行もしていません。
せめて南太平洋の島々への旅番組でも見て、少しでもリゾート気分に浸りたいと思います。
ニックネーム 借金女王 at 16:22 | Comment(2) | TrackBack(0) | 映画&テレビ

2006年03月16日

惑星"ホス"で冬季オリンピック開催!?

2014年冬季五輪を「スター・ウォーズ」の氷の星で!
「スター・ウォーズ」のファンが、8年後の2014年冬季オリンピック開催地を、惑星ホスにしようと誘致キャンペーンを行っている。ホスとは、「スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲」で登場した氷の惑星で、もちろん架空の星だ。キャンペーンサイトによると、“ホス”の名の元にオリンピックを開催すれば、「スター・ウォーズ」ファンが中継を観るため、視聴率の低迷にあえぐ冬季五輪の救世主になれると主張している。
エイガ・ドット・コム 2006年3月14日

スターウォーズ」ファンなら、ニヤリとしそうな話です。
「スターウォーズ」に出てくる惑星は、ひとつひとつが気候や自然、住んでいる人々や動物などの設定がとても細かく作りこんであって、その星の物語だけで映画が作れてしまうほどです。
冬季オリッピックに名乗りを上げた惑星"ホス"は、「エピソード5/帝国の逆襲」の前半部分の舞台となる、氷に覆われた極寒の惑星です。
ラクダのような体つきで、カンガルーのようにピョンピョン跳ねる生き物が移動交通手段です。雪男のような凶暴な原住民がいるので、オリンピック用のスタジアムやスケートリンクなどの建設をするなら、寒さ対策と原住民対策は必須だと思います。
吹雪などの悪天候も多いようなので、屋外競技のスケジューリングも結構大変かもしれません。
かなり寒そうですし、雪男も怖いので、もし"ホス"まで行ける交通手段があったとしても、私はやっぱりテレビ観戦にしておきますが、熱狂的なスターウォーズファンは世界中にいるので、観戦ツアーを企画すれば、参加者が殺到すると思います。

立派な招致キャンペーンサイトもあり、招致活動の発起人はヨーダとダースベイダーだとか。
署名活動も行われているようですから、こういうノリが好きな人は参加してみてください。私はこういうノリは大好きなので、署名しました。
The force is with HOTH2014 OLYMPIC MOVEMENT.
ニックネーム 借金女王 at 01:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画&テレビ

2006年01月17日

24 TWENTY FOUR シーズン5


このblogでも何回か書いているように、私はNFL中継を良く見ます。
もちろんアメリカのCBS、ABC、FOXなどのテレビ局の映像です。私がいつも見ているCSの中継では、CMはカットされるものの、試合中に画面の下に流れる番組宣伝画像はそのまま放送されています。
(NHKで見る時は出てこないのですが、これはNHKが海外配信用の値段が高い映像を買っているからだそうです。MLBやNBA中継も同じみたいです)

そして、昨日と一昨日見たFOXテレビのNFL生中継の中で、流れたのです。

ぴかぴか(新しい)24 TWENTY FOUR Tonight After The Gameぴかぴか(新しい)

「この試合の後、24を放送するよ」ということです。
いよいよアメリカで、24シーズン5の放送がスタートしたようです。

私は、日本の物も含めて、テレビドラマにハマることになんて滅多にありません。
「24」も周りで盛り上がってくればくるほど、天邪鬼なので、頑なに見るのを避けていたのですが、CSの日本のFOXチャンネルで、シーズン1の放送があった時、「どんなものか」と見始めてしまったのが、ことのはじまりでした。
「24時間の間に、国の存亡の危機を救う」という、大きなミッションのために、主人公のジャックが、誰が死のうが、自分が死にかけようが、お構いなしに行動し続ける、というところが、RPG的で面白いのだと思います。ゲームゲーム機のリモコンは操作していませんが、食事もトイレもなしでガンガン動き続けるジャックの姿は、あたかも自分でゲームの主人公を操作している感覚に似ています。

日本では、去年の夏にシーズン4のDVDがリリースされました。アメリカでの放送は去年の今頃だったと思うので、シーズン5の日本リリースも、今年の夏頃だと思います。
早く見たいexclamation
ニックネーム 借金女王 at 22:22 | TrackBack(2) | 映画&テレビ

2005年08月19日

プチ・映画レビュー(3)"砂"の映画で"暑い夏"を体感(旧blogより転載)

朝夕の風には、少しだけ秋の気配を感じるようになって来ましたが、それでもまだまだ暑い毎日ですね。
去年の夏に書いた映画レビューでは、「暑い夏を少しでも涼しく」ということで、潜水艦の中を舞台にした映画を2本紹介しました。そこで、今年は反対に、暑い夏がいっそう暑くなりそうな映画をご紹介してみようかと思います。照りつける真夏の暑さというよりは、肌にじっとりと粘りついてくるような暑さを感じる物、「砂」が象徴的な映画です。



以前の映画レビューでご紹介した「ラストタンゴ・イン・パリ」のベルトルッチ監督作品です。前年に「ラストエンペラー」でアカデミー賞を受賞したのと同じスタッフで撮った映画なのですが、興行的には大失敗だったらしいです。「ラストエンペラー」できらびやかで優雅で、アメリカ人が大好きなオリエンタルムード満点の紫禁城の暮らしを見せてくれたベルトルッチが、その次に選んだのは、何もないどこまでも続く砂漠の風景だったのですから、がっかりしてしまった人も多かったのかもしれません。
しかし、私は「ラストエンペラー」より、「シェルタリングスカイ」の方が、ずっとベルトルッチらしい作品だと思いますし、映像も、ストーリーも、俳優さんも、坂本龍一さんの音楽も、「ラストエンペラー」の上を行っていると思います。
と言うより、「好きな映画ベスト3を挙げなさい」と言われれば、私は必ずこの作品を挙げます。
でも、見た瞬間に「マイベスト」になったわけではありません。この映画が公開されたのは1990年で、その時私はまだ20代前半でした。映像と音楽の美しさはとても印象に残ったものの、内容についてはさっぱり理解できず、それでも「何だか気になる映画」で、何度も何度もレンタルビデオなどで見ていました。
そのうち「この映画が理解できるようになれば、私も"大人の女"だ」と思うようになり、遂に自分なりの解釈を手に入れたのは、30歳を過ぎてからです。
北アフリカ・モロッコの街と、延々と広がる砂漠の風景が物語の舞台です。
ふたりの新しい関係を求めて、アメリカからモロッコに渡ってきた倦怠期の夫婦が主人公ですが、この映画がすごくもあり、とっつきにくい印象を与えてしまうのは、見る人が、その夫婦のどちらかに感情移入して見ることができない手法にあります。
「シェルタリングスカイ」というタイトルは「空に守られている」、青臭く言えば、「広くて無限の青い空に見守られてちっぽけな私たちは生かされているんだね」、というようなことなのでしょうが、それを痛感するのは、主人公の夫婦であり、見ている人は、彼らと一緒にそのことを痛感するというよりは、彼らを見守っている「空」の側の視点に置かれている感じがするのです。
そもそも、「倦怠期の夫婦」という設定が、20代前半の女の子にはピンと来ないのですが、あるきっかけで、その主人公夫婦の妻だけが、延々と広がる砂漠の中に足を踏み入れて行く理由などは、初めて見た時は本当に理解不能でした。
でも、自分も歳を重ね、何度もこの映画を見ているうちに、何だかわかってくるのです。わかってくると、ただ砂だけしかない砂漠の風景が、とても美しく見えてきます。最初は、砂漠は先の見えない「絶望」の象徴なのかと思っていたのですが、実はそうでもないことがわかります。
どちらかというと難解な部類の映画だと思いますし、15年間繰り返し見てきた私自身の解釈も、その都度変わっています。だからこそ、何度も見たくなってしまう映画なのかもしれません。
地上を見下ろす空の視点で、存分に情感あふれる砂漠の風景を堪能してください。



これは、1964年、私が生まれる前の日本映画で、もちろんモノクロ作品です。
監督は数年前に亡くなった勅使河原宏さんで、華道の草月流の家元でもあった人です。
安部公房の有名な小説の映画化なのですが、私は高校生時代に阿部公房の小説を読みまくっていた時期があり、中でも「砂の女」は読んでいるだけで砂の流れる音が聞こえてきそうな、ねっとり感を伴う印象的な小説でした。
大学生になって、この小説が映画になっていることをレンタルビデオ店で初めて知り、この映画を見て驚きました。
言うまでもなく、たくさんの小説が映画化されていますが、ここまで原作を忠実になぞった映画は他にありません。実際に小説を読みながら映画を見ると、脚本を読みながら映画を見ているのと同じです。地の文の通りに映像が続き、小説に書かれている台詞とまったく同じ台詞を俳優が喋るのです。

小説の中の砂は、生き物のようにサラサラと音を立てて流れ続け、不快にねっとりと肌にまとわりつくのですが、それは文章だだからこそ表現できることで、映像化なんてとてもできないだろう、と思っていたのですが、それが見事に映像で表現されていたのです。
砂の不快感、ねっとり感が見事に映像化されていながら、不快でねっとりした映画ではないところが、勅使河原監督のスゴイところです。
草月流の生け花は(假屋崎省吾さんも草月流ですね)、大胆でゴージャスで、いわゆる「華道」のイメージよりは、フラワーアレンジメントのイメージに近いものです。その家元である勅使河原監督が、花一輪、雑草一本生えていない砂漠の映画をここまで見事に撮ってしまうのは、「すごい」としか言い様がありません。華道家が植物なしで、自分の芸術を表現したということだと思います。
勅使河原監督の映像表現も見事ですが、更にこの映画を印象的にしているのは、"砂の女"を演じている岸田今日子さんの存在感です。阿部公房が小説で描写している女を忠実に演じながらも、彼女独特のはかなく怪しい雰囲気が相まって、勅使河原監督の世界観にいっそう深みを与えています。
私は原作やノベライズがある映画は、原作を読んでから映画を見るとたいていがっかりしてしまうので、先に映画を見ることをおすすめするのですが、この映画だけは、まずは原作をじっくり読んで、その世界観にどっぷり浸ってから、今度はそれを映像で再確認する、という見方をおすすめします。

ところで「砂」と言えば、「スターウォーズ」の主人公、アナキン・ルーク親子の故郷も"砂の惑星・タトゥーイン"です。エピソード6では、大きな砂の蟻地獄での戦いのシーンもあります。「スターウォーズ」シリーズは大好きな私ですが、「砂」の撮り方に関しては、大いに不満です。日本映画フリークのルーカスも、「砂の女」はチェックしていなかったのかなぁ、と思うことがあります。
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2005年07月14日

今度の「スターウォーズ」は涙無しには観られない(旧blogより転載)



「スターウォーズ エピソード3」を観てきました。

私はスターウォーズシリーズの6作品すべてを、公開時に映画館で観ています。
シリーズ第1作の「エピソード4」が公開されたのは、小学生の時でした。その時はまだ、ストーリーの内容はちゃんと把握できていなかったかもしれません。でも、その映像のインパクトに圧倒されてことを覚えています。
それまで、ウルトラマンやゴジラの特撮だけでも充分スゴイと思っていた小学生が、いきなりあんなにスゴイ映像を見せられたのですから、相当強い衝撃を受けたに違いありません。これは、もっと若い人たちが、その後にできた特撮やCGの映画をたくさん見た後で、ビデオでスターウォーズを観たのでは、感じることができない衝撃だと思います。
ここまで夢中になれるのは、小学生の時からリアルタイムでスターウォーズを観てきて、40前のおばちゃんになった今、ついにシリーズ完結作を観ることができる、私の世代の特権かもしれません。

「エピソード4・5・6」の三部作が公開されてから、スターウォーズシリーズは長い長い沈黙を守っていました。
最初の3部作は、テレビ放送やレンタルビデオで、その後何度も何度も見ました。関連の本なども読んで、映画の中ではほんの数秒しか出てこないようなサブキャラクターにも、それぞれ物語があることを知り、知ってからもう一度映画を見直すと、また新しい見方ができました。
その間、新シリーズ制作の噂が流れては消え、消えてはまた流れ続けていましたが、約15年後、ついに待ちに待った「エピソード1」が公開された時は、先行オールナイト上映を何時間も並んで見に行きました。画面にあの「遠い昔・・・」の文字が流れ、スターウォーズのロゴが映り、テーマ曲が流れた時は、思わず拍手をしてしまいました。

そして、「エピソード1・2・3」3部作の最後を飾る「エピソード3」が先週公開されました。
いち早く観たいという気持ちと、これを観てしまうと、もうあの、タイトルロゴとテーマ曲を聞く瞬間の何とも言えないドキドキ感を2度と味わうことができないんだ、という思いが交錯して、何だか見に行くのが勿体ないような気がして、躊躇していたのですが、結局我慢は1週間も持ちませんでした。やっぱり、観ずにはいられませんでした。

「エピソード3」は、過去5作品では感じることのなかった思いを私にもたらしました。
切ないのです。悲しいのです。涙なしには観られないのです。
何が起こるかは、観る前からわかっているのです。
主人公のアナキンがあのダースベイダーになってしまうことは、100%確かなことなのです。
「結末を知っている」映画を観て、こんなに泣けるとは思いませんでした。
結末どころか、「エピソード4・5・6」を観て、結末の先のその後まで知っているのに、泣けるのです。
むしろ、先を知っているからこそ泣けたのかもしれません。

この「エピソード3」は、今まで何十回も見て、分かり切っていたはずの3部作の見方を、まったく変えてしまうように思います。知っていたつもりの「先の話」も、実は「何もわかっていなかったんだな」と思わされます。
今まで観てきたのとは逆の視点で、もう一度あらためて「エピソード4・5・6」を観たくなります。
初めて劇場に登場したスターウォーズがどうしていきなり「エピソード4」だったのか、あえて時系列に逆らって、この順番で公開されたのか、30年近く抱えてきた疑問の答えを、やっともらえたような気がします。

この数日で、過去5作品は全部見直してから今日「エピソード3」を観たのですが、これで又、「エピソード4」から観直すことになりそうです。まだまだ私は「スターウォーズ ワールド」から当分抜け出せそうにありません。

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2004年07月27日

プチ・映画レビュー(2)涼を求めて「潜水艦モノ」2本(旧blogより転載)

今年は、去年の夏とは打って変わってたいへんな猛暑ですね。
こんなに暑いと、本当に何もする気になれず、サイトの更新も思いっきりサボっています。
暑いので、少しでも涼しくなることを、とあれこれ考えていたら、2本の「潜水艦モノ」の映画を思い出しました。

私は、かなり「閉所恐怖症」です。年齢とともにその傾向は強くなってきて、去年「東京ディズニーシー」で、「海底2万マイル」という潜水艦型のアトラクションに乗った時は、自分でも驚くほど恐怖感を感じ、心臓はドキドキ、サーっと血の気も引いてきて、楽しむどころではありませんでした。
潜水艦を舞台にした映画は、海の中だから涼しいというだけでなく、私にとってはそういう意味でも涼しさを通り越して、寒気を感じるほどに「涼しい」映画なのです。

私が恐怖を感じる「密室」という舞台は、映画やドラマにとっては、最も緊張感を作りやすい設定のひとつです。閉じられた空間と、限られた登場人物で物語が進む、という設定はミステリー小説などでも良く使われています。
映画でも、「十二人の怒れる男」は、裁判の陪審員たちの駆け引きと心の動きがていねいに描かれた「密室モノ」の秀作です。

海底深く潜行した潜水艦の中は、まさに「密室」の中の「密室」とも言える空間で、その息苦しいほど緊迫した空気が、時に人をパニック状態に追い込み、人の脆さや、逆に意外なほどの強さをも露呈させるのです。


「クリムゾン・タイド」は、デンゼル・ワシントンとジーン・ハックマンというふたりの名優が、潜水艦の中の緊迫感を、極限まで高めてくれています。
強い信念と信念が狭い潜水艦の中で、激しくぶつかり合い、爆発してしまいそうなほどの迫力を感じます。ストーリーのスピード感や、映像のキレ味もとても気持ちが良くて、決して「感動の名作」という類の映画ではありませんが、何度も見直したくなる魅力を持った映画です。「核爆弾」という、とても重いテーマを持ちながら、それをスリリングなエンターテイメントに仕上げているところに、制作者や出演者の力量を感じます。政治や外交の問題として語られがちな核兵器問題ですが、実際に核兵器を持って行動をしている、軍隊という「現場レベル」での核問題を感じることができます。



「Uポート」は、第二次世界大戦中、連合軍を震撼させたドイツの潜水艦、通称「Uボート」の中で繰り広げられる物語です。現在DVDになっている「ディレクターズカット版」は3時間半近い大作ですが、その長さをまったく感じさせないというか、むしろ長さをリアル感に変えている映画です。20年以上前の映画ですが、監督は今公開されている「トロイ」のペーターゼン監督です。
リアルさを感じることができるのは、フィクションであることはわかっていても、ドキュメンタリー映画を見ているように思わせる手法にあるような気がします。
古い潜水艦なので、急潜航や急浮上をする時などは、乗組員全員を一斉に船首や船尾に走らせて艦のバランスを取ったりするわけですが、乗組員たちと一緒に、手持ちカメラも全速力で走って撮ったブレブレの画像をわざと使うことで、見ている側も乗組員になって、一緒に猛ダッシュしているような気分になれるのです。
(ちなみに、手持ちカメラのブレブレ画像が、リアル感と迫力を高めてくれている秀作映画は、何と言っても「仁義なき戦い」です。)
3時間半、ずっとそんな感じですから、見終わった後の疲労感は結構なものです。でもそれは「長い映画を見たから疲れた」という疲労感ではなく、Uボートに乗って、一緒に出撃してきたような疲労感です。物語は、Uボートの活躍を取材しようと特別に乗り込んだ、軍の報道官の視点で描かれて行きます。
軍人とは言っても、部外者である彼の視点が、そのまま見る人の視点となって、よりリアル感を高めます。
この映画の醍醐味は、上述の「クリムゾン・タイド」のスピーディーでスリリングな展開とは逆に、「動かない」ことにあります。もう目の前に迫ってきている「死」をひしひしと感じながら、動かずに待つことしかできない、という究極の「静」が、ある時は瞬間的に、ある時はもうずっとこのままじゃないかと思うほど延々と、この映画を支配します。
「不条理」と言うしかないラストシーンに向かって、映画の中の時は、リアルに緊張感を持って流れます。

熱帯夜は、こんな潜水艦モノ映画で、寝苦しさを紛らわせてみてください。
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2004年03月29日

ゴジラが終わる(旧blogより転載)

私はゴジラ映画が大好きです。ゴジラの話を始めると止まらなくなります。
最初のゴジラ映画は、昭和29年に公開されました。もちろんモノクロ映画で、ゴジラの全身の姿が登場するのは、映画の後半に差し掛かってからです。
それまでは、ゴジラの足跡とか、目のアップが出てくるだけで、観客に「どんなに巨大で恐ろしい怪獣が出てくるのだろう」という恐怖感をあおりに煽ってから、満を持して登場するのです。

以来50年。
ゴジラ映画は27本作られてきました。

50年の歴史の中で、ゴジラは時には人にとっての脅威として、時には「正義の味方」にもなりました。
その姿形も、かなり変遷しています。
身長でさえも、設定上の都合で、50m〜100mの幅で変わっています。
ゴジラのフギュアは、熱心なコレクターもいる奥深い世界です。「モスラvsゴジラ」の時のゴジラは「モスゴジ」、「キングコングvsゴジラ」の時のゴジラは「キンゴジ」と呼ばれ、マニアには一目で区別がつきます。
中でも、一番カッコいいと言われているのは、「ゴジラVSビオランテ」の時のゴジラ、「ビオゴジ」です。
私も歴代のゴジラの中では、ビオゴジが一番シャープで迫力のあるゴジラだと思います。

私は映画が好きですが、「駄作」だと思う作品は人前でも酷評します。一般に人気のある作品でも、嫌いな物は嫌いです。最近では「タイタニック」が私の酷評を受けました。

しかし、ゴジラ映画だけは特別です。
特に1960年代後半から70年代に撮られたゴジラ映画は、完全に子供向けになってしまい、ゴジラは正義の味方となって、空を飛んだり、公開当時にはやっていた「シェー」のポーズをしたり、とんでもないことになっています。
ゴジラの容姿も、子供ウケするように、まん丸のかわいいツブラな瞳になっていますし、特撮もかなりいい加減です。
それでも、私はゴジラが出ている、というだけで全部許してしまいます。
多分、「ゴジラ」という俳優のファンなんだと思います。

ゴジラには、私を魅了して止まない仕草があります。
それはシッポです。
ゴジラのイラストなどを見ると、ゴジラのシッポはとても短いのですが、実際のゴジラのシッポはとても長いです。上に伸ばせば、頭よりずっと上です。
そのシッポは、ゴジラが何をしている時でも、絶えず動いているのです。
あの意味のない動きが愛しくてたまらないのです。
撮影の時は、ゴジラのシッポ担当の助監督さんがついて、ヒモでつないだゴジラのシッポを滑車を使って、絶えず動かしているそうです。
そしてこのシッポは、ただ意味もなく動くだけでなく、ゴジラの大切な武器でもあります。
ゴジラの攻撃技と言えば、口から吐き出す火炎放射を誰でも挙げると思いますが、実は「シッポチョップ」もすごい破壊力なのです。
接近戦では、火炎放射よりも、断然シッポチョップです。

まだまだゴジラの話をするとキリがないのですが、50周年を迎えた今年、「ラスト・ゴジラ」が公開されることになりました。
これまでも、何年かの沈黙を破って何本か連続で公開されることがあったゴジラ映画なので、本当に「ラスト」かどうかわかりません。
でも、今の映画はほとんどがCGになってしまって、ゴジラのような「特撮もの」は廃れる一方です。ゴジラを作ってきた東宝の撮影所からも、特撮用のプールなどがなくなってしまうらしいので、「特撮」としてのゴジラ映画は本当にラストかもしれません。
CGで作られたゴジラは全然見たくありません。
ゴジラは人間が着ぐるみを着て動いているからこそ、あの独特の動きができたのです。
ハリウッドでリメイクされた、インチキゴジラを例に挙げるまでもなく、CGのゴジラは「ゴジラ」ではありません。

さて、そのラストゴジラなのですが、最近出演者が発表になりました。
これまでのゴジラ映画のメインキャストの俳優さんは、映画俳優さんばかりで、人気先行のタレントさんが起用されるようなことはありませんでした。
最近の作品で、タレントの釈由美子さんが主役に抜擢され、ちょっと驚いたのですが、思った以上に良い感じにハマっていました。
だから、このラストゴジラも見ないとわからないのですが、TOKIOの松岡くんが主役なんだそうです。
別に松岡くんのことは嫌いではありませんが、よりによってゴジラ映画に、ジャニーズを出すことはないだろう、と思います。
しかも「ラスト・ゴジラ」です。
昔からのゴジラファンにとっては、大切な作品になるはずです。初日から並んで見たい人も大勢いるでしょう。
それなのに、ゴジラ映画なんか見たこともない、ジャニーズファンのお姉ちゃんたちに映画館を占拠されてしまうのは、ゴジラファンとしては、納得の行かないものがあります。
どんなに大物俳優が出ていても、ゴジラ映画の主役は、あくまでもゴジラなのです。
私は、ゴジラが出ていさえすれば、ストーリーはどうでも良い、と言っても過言ではありません。
しかし、「ゴジラのお話」でないと困ります。
ラストゴジラには、松岡くんと一緒に菊川伶さんも出るそうです。「ゴジラを絡めたショボイ恋愛映画」なんてことになったら、本当に許せません。
ラストなのですから、ゴジラには思う存分暴れまわって、シッポチョップを炸裂させて欲しいと思っています。
シッポチョップで、ジャニーズファンのお姉ちゃんたちなんか、なぎ払ってしまえ〜!

★記事転載に当たっての追記(2006年3月)★

最後のゴジラ映画は、私の心配をヨソに、かなり良いできでした。
これならゴジラも安心して「成仏」できたと思います。
永遠のライバルだったキングギドラや、ハリウッドでリメイクされたインチキゴジラも完全に撃破し、ゴジラはやっぱり「最強」だということを、理屈抜きに示してくれました。
また、ゴジラのみならず、「東宝特撮映画すべてへのレクイエム」という面もあって、往年の東宝特撮ファンにはたまらない設定とキャラクターと出演俳優さんで固められていました。

ゴジラよ、永遠に。

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2004年02月28日

「マトリックス」シリーズとWindowsの関係(旧blogより転載)

マトリックス リローデッド」のクライマックス。主人公のネオがようやくたどりついた、「マトリックス」の設計者「アーキテクト」。
マトリックスの世界の「真実」とは何なのか!?
と、胸を高鳴らせて「アーキテクト」の話を良く聞いてみると、何だかどこかで聞いたようなことを言っています。これは・・・

映画館の座席の上で、「ひょっとして、あなたはビル・ゲイツさんではありませんか?」と、心の中で「アーキテクト」にツッコミを入れた人も少なくないと思います。
「完璧な物を作ったつもりでも、どうしてもバクは発生してしまう」とか、「だから定期的にリセットしなくちゃいけないんだよ」とか、まるで「アーキテクト」からWindowsの説明を受けているような気がしていました。
ネオがたどり着いたのは、「マトリックス」の真実ではなく、Windowsの真実だったのです。

 今日、こんな記事を見つけました。

「XPリローデッド」?--Windows、Longhornの前に中間アップデートか - CNET Japan
「アーキテクト」の言葉、Windowsの開発のみなさんには身に覚えがあったのでしょう。

この一件を初めとして、私は「マトリックス」シリーズは、壮大な「パロディ映画」だったなぁ、と感じています。

決して卑下して言っているわけではなく、実に出来の良いパロディ映画だと思います。


最初の「マトリックス」を見た時は、「攻殻機動隊」の「実写版」だと思いました。(実際にマトリックスの制作のプレゼンには攻殻が上映されたそうです)
実は、私はアニメファンでもあります。「攻殻」は好きなアニメのひとつなので、「マトリックス」を見て、本当に出来の良い「実写版・攻殻」を見たようで、素直に喜んだのです。

「マトリックス リローデッド」は、上述のように、Windowsのパロディなんだと感じ、とても面白い物を見たと思いました。話の途中で映画が終わってしまう手法も、「スターウォーズ・帝国の逆襲」の終わり方を彷彿とさせるものでした。スターウォーズでは「帝国の逆襲」から「ジェダイの復讐」まで、3年くらい待たされましたが、マトリックスは半年ぐらいのものでしたから、親切なものです。

マトリックスの完結編となる「レボリューションズ」でも、パロディ魂は炸裂していました。
「ザイオン」での壮絶な戦闘シーンは、どう見ても「エイリアン2」そのものです。
そして、ラスト近くの、ネオとスミスの一騎打ちのシーンは、どうしたって「ドラゴンボール」を思い出さずにはいられません。あのシーンを見ている私の頭の中では、「ドラゴンボールZ」の戦闘シーンに良く使われていた音楽が、ずっと流れていました。

「マトリックス」シリーズは、世界的な大ヒット映画であることは確かですが、一方で「よくわからない」「面白くない」という声もたくさん聞く映画です。
聞きなれない言葉や、哲学的で難解な話をしているように感じた人もいるかもしれませんが、私はパロディ満載の大エンターテイメント作品だと思います。
パロディは、本家を知っているからこそパロディだとわかるわけで、「攻殻機動隊」や「エイリアン2」を見ていないと、ひょっとしたら面白さも半減するのかもしれません。
もし「マトリックス」を「つまらない」と感じたのなら、ぜひ攻殻機動隊」や「エイリアン2」を見てから、もう一度見てみてください。

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2003年06月13日

プチ・映画レビュー(1)ラストタンゴ・イン・パリ(旧blogより転載)



私が映画好きだということは、プロフィールのページにも書いてあります。大学時代には、映画の脚本家になりたくて、専門学校にも通ったほどです。ですから、特に大学時代は、本当にたくさんの映画を見ました。
私が大学生になった当時は、まだ家庭用のVHSのビデオデッキが少しづつ普及してきた頃でした。1〜2年生の頃は銀座の並木座、池袋の文芸座、飯田橋の佳作座など、いわゆる「名画座」といわれる映画館の「黒澤明特集」とか「ゴダール特集」など、ひとりの監督や俳優の作品をオールナイトで数本上映するような企画によく行っていました。(佳作座も並木座も今はもうありません。文芸座は新文芸座と名前を変えて小奇麗な小屋に変わってしまいました)
大学3年生になって、やっと自分の部屋にもビデオデッキが置けるようになり、それからは近所の小さなレンタルビデオ屋さんにあるビデオを、新旧、和洋を問わずに棚の端から順番に借りていくような勢いで、見ていました。
たくさん見た映画の中には、もうタイトルもすっかり忘れてしまったようなものもあれば、あまりにも駄作すぎて、未だに夢でうなされるような映画もあります。そして、もちろん、気に入って何度も見た映画もたくさんあります。
そんな、私のお気に入りの映画は、ジャンルも年代も、製作された国もさまざまで、ここ2〜3年、少しづつDVDで買い集めているのですが、DVDになっていない作品もたくさんあります。
そんな私のお気に入りの映画を、時々にここで紹介しようかと思います。一応「プチ・映画レビュー(1)」などと、連載企画のつもりでタイトルをつけてしまいました。「借金のサイトで映画の紹介をされても・・・」と思われるかもしれませんか、興味のない方、余裕のない方は読み飛ばしてください。

前置きが長くなってしまいましたが、今日の映画は、標題の「ラストタンゴ・イン・パリ」です。この映画の監督、ベルナルド・ベルトルッチは、後に「ラスト・エンペラー」という作品でアカデミー賞を取ることになりますが、この作品はそれよりずっと前、彼がまだ30代になったばかりの頃の作品です。アカデミー賞を取った「ラスト・エンペラー」なら見たことがある、という方は多いと思いますが、この監督の作風は、本来はあのような、きらびやかな映像や大河ドラマチックなストーリーとは無縁です。
「ラストタンゴ・イン・パリ」は、題名の通り、パリの街の片隅で起こる、普通の男と女の物語です。
この作品は、公開当時としては、かなりリアルでセンセーショナルな性描写が話題になりました。
実は、大学生の頃、はじめてビデオでこの映画を見た時は、その「激しいセックスシーン」だけしか印象に残らなかったのですが、25〜6歳の頃、あるきっかけでこの映画の事を思い出し、もう一度見た時の印象は、最初の時とまったく違うものでした。
とあるアパートの一室で、くたびれた中年の普通の男と、少女から女性になろうとしている女の子が、お互いの素性を明かさぬまま逢瀬を重ねるシーンが、この映画の大部分を占めています。私は一時、年齢も状況もかなり違いますが、とある男性と似たような逢瀬を重ねていた時期があり、その最中にふと、この映画のことを思い出したのです。
そして、その男性と一緒にこの映画を見ました。見終わった後、彼は、マーロン・ブランド演じる中年男性寄りの感想を持ち、私は女の子寄りの感想を持って、対立し、かなり激しい口論にまで発展しました。
私は、見てない映画のストーリーを先に聞いたり、「これはこういう映画だ」と見る前に言われるのはとてもイヤなので、ここでも断定的にテーマを語ったり、結末を言うようなことはしませんが、アパートの外で、ふたりがまったく別々に送っている日常生活と、アパートの中にだけ存在している「非日常」のバランスが狂った時、中年男はどんな行動を取り、女の子はどんな気持ちになるのか、というのが、この映画の見所です。
最初に見た時はもちろん、2度目に見た時もあまりわからなかった、マーロン・ブランドのくたびれた中年男の魅力のようなものが、去年DVDで見て、やっとわかってきました。一緒に見た男性は、当時、今の私ぐらいの年齢だったのですが、今なら彼の言ったこともよくわかります。マーロン・ブランドという俳優の、圧倒的な存在感なくしては、この映画も「失楽園」なみのベタな不倫映画になってしまっていたかもしれません。
この映画で見るパリの街並みは、ちょっと気だるくて、アンニュイです。監督はイタリア人ですから、パリの住民から見たパリの街とはまた一味違うのかもしれませんが、「華やかな芸術の都」ではありません。その中をさまようマーロン・ブランドもまたアメリカ人という「外国人」であり、その、いわば「ミスマッチ」が、なんとも言えず印象的なのです。
 動して涙を流す映画でも、何か心に教訓が残る映画というわけでもありません。でも、心のどこかに針でチクッと刺されたような後味を残してくれる映画です。そして、その余韻は長く続きます。忘れた頃にまた、思い出したりします。
普段生活していて、無意識に鼻歌を歌っていることが、誰にもあると思います。私が気がつくと歌っている鼻歌は、この映画のテーマ曲であることが、とても多いのです。
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